ほら。


ほら、笑ってる。本心を決して見せない恐ろしい女。
そこにいる。あまりに哀しそうな瞳をしている少女。

・・・・・・・・・・大切だった人形を握りつぶしてしまった手。

破滅へと走る足。 愛するものを守るために殺す手。
泣いている。父は泣いている。その子らも泣いている。

少しずつ近づく。
破滅へのゲート。
スクリーンのように煌びやかに光輝いて、その中は虚無。

泣かないで。今すぐそこに行くから。
忘れないで。ずっとそばにいるから。

涙流す楽器たち。
叫ぶ女たち。
歌いつづける天使たち。
強い声で私たちを震撼させ、歌いつづける。
今も聞こえてくる。
その歌声。
女たちまで歌いだす。
愛するものの為に。
どこまで歌いつづけるの。一体いつまで歌いつづけるの。

優しく囁くようでいて、限りなく強く歌い続ける。

きっとあの天使達は探しつづける。
大切なもの。愛するべきもの。
きっと、もう、二度と戻らないものを。
永遠に探しつづけるんだ。
哀しみに満ちた歌声でいつまでも。
私達を導くために。
美しい歌を。。。。。



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